工事をお願いする有限会社志水建工の志水さんの自邸では、 5つの床(仮)/5 floors の工事で検討している窓断熱と、床材のリノリウムを使っています.
打合わせも兼ね、お施主さんと一緒に千駄ヶ谷の志水さん自邸にお邪魔してきました.
こちらは志水さんのお父様の会社である 志水建築設計事務所 で古い民家をリノベーションされています.
素敵なアプローチと全体として茶色の落ち着いた色調でまとめた大変居心地の良い住宅です.
左の窓は断熱コーティング/右の窓は、Low-e真空ペアガラスで断熱をしています.写真では、分からないですが(実際言われてから注意して見ないと分からないですが)断熱コーティングの方は、微妙に刷毛ムラがあり、縦に線状の歪みが少しだけ見えます.Low-e真空ペアガラスの方は、近くでよく見ると真空にするための小さなドットが見えます.
キッチンのシンクやコンロ側のみ同系色のリノリウムを使用しているので、そちらもお施主さんと一緒に確認.お施主さんはリノリウムの感触が冷たいのではないかと心配されていたようですが、実際に使用している所を見て、触ってみて気に入ってくれた様です.リノリウムは見た目から塩ビシート的なものを想像してしまいますが、亜麻仁油、石灰岩、ロジン、木粉、コルク粉、ジュート、天然色素などの天然素材から製造している100年以上の歴史のある素材です.
塩ビシートは安価で様々な色や種類もあますが、プリント的な表面をお施主さんがあまり好きではないようで、
それに比べリノリウムは、自然の模様や色がたくさんあり、おすすめの素材です.亜麻仁油由来の抗菌性もあります.
大和田がフジワラボにて担当した 『AOI Medical Academy』 では、ビビッドな黄色や青色のリノリウムを使用しています.
1/50、1/30、1/20、1/10模型を見ながら、
前回からの変更点の確認をしました.
窓まわりと鴨居の詳細を検討中です.
実は、前回打ち合わせから今回打ち合わせの間に大きな前進があり、大変良い方向に進んだ気がしています.
コンクリートの躯体に生活のスケールを与えるために鴨居を導入していましたが、あまり満足してませんでした.
最近のリノベーションなどによく見られる、ただシンプルなだけの鴨居や襖などのデザインは、伝統的なデザインから職人や先人達の素晴らしい技巧や知恵が失われ、
形だけ残った劣化盤でしかないと感じていて、、、ずっと鴨居部分について悩んでいました.
今回1/20模型という今までとは違うスケールの模型でスタディを始めていく段階で鴨居のレベルが変わっていくというアイデアが生まれてきました.
スケールを与えていきながら、場所にも適応していく.
たった100mm程度の差が、空間の緊張感を左右し、壁や開口との応答を可能にします.
これは新しい鴨居、新しい生活スケールのデザイン手法になるのでは!と今までの曇り空が急に晴れた気がしました.
様々なスケールの模型で検討するというのは違う発想が生まれるきっかけを作ってくれるということを再確認した瞬間でした.これからは実施図面、詳細を詰めていきます.
Soi 井上