yohaku office & showroom + riyou project のフレームをお願いしようとご相談している大工さんと打合せをしに横浜まで行ってきました.今回ご相談している大工さんは、LIU KOBOの劉功眞さんです.我々の大学の先輩である設計集団アイボリィアーキテクチュアが拠点としているシェアスタジオの旧劇場で一緒にシェアをしている大工さんでいつか仕事を一緒にしてみたいなーとぼんやりと考えていたので、今回のフレームの構造はぜひお願いしたいなということで、相談をしてみました.
旧劇場は、元ストリップ劇場を改装したシェアスタジオとなっており、設計事務所や大工さん、画家や、写真家等様々な業種の方々でシェアをしています.
プロジェクトのコンセプトやフレームの構成等をお話し、劉さんはとてもこのプロジェクトを面白がって頂きました.施工方法や見積を一度検討して頂くこととなりました.
打合せの後は、アイボリィアーキテクチュアの皆様と一緒にY-GSAの同期のtomito architectureが設計をしたcasacoへ!casacoが始まってすぐの頃何度かこの場所や運営をしている加藤君ともお話をしていたので、自分が関わったプロジェクトでもないのに、ついに完成したんだ!という気持ちになりました.
角地を抉り取るように半屋外化した空間の足下は野毛にある横浜市中央図書館の前の歩道に敷かれていたピンコロ石を撤去されるのを譲り受け、地域の方々とDIYで施工したそうです.
室内は2Fの床を一部取っ払い、大きな軌跡の空間と臙脂色の絨毯が敷かれ、とても居心地の良い空間でした.
加藤くんの個室と外の坂道、1階の絨毯が不思議な関係で同時に見えます.
キッチンは5つの床(仮)/5 floorsで検討しているMORTEXが使われていました.カフェも営業していて、トルコのチャイ(しかも100円!)を頂きました.
久々にアイボリィアーキテクチュアの皆さんとお会いしたので、近況報告や最近やっているプロジェクトの事等カフェ閉店間近の16時近くに伺ったのに、1時間以上も寛いでしまいました.加藤君ごめんなさい.
その後は、黄金町バザール2015にて開催されていた空間コンペの中で、アイボリィアーキテクチュアが最優秀賞を取られ、昨年に完成したアーティスト・クリエーターのレジデンススペースのリノベーション空間を見せて頂きました.黄金町は”ちょんの間”と呼ばれる間口2m足らずの違法営業されていた風俗店が並びとても治安が悪い混沌とした街でした.2005年に横浜市と神奈川県警察によるバイバイ作戦が発動されそれらの違法店舗は徐々に無くなっていったのですが、その歴史から街から人は消え、ゴーストタウン化してしまっていました.そんな中で黄金町バザールを企画運営している黄金町エリアマネジメントセンターは、そういった負の歴史や場所に抵抗なく活動していけるアーティストに対して、安価に場所を提供することで、街を新しく活性化しようとしました.黄金町は少しずつ変わっていき、今では、怖い場所という印象も少なくなってきました.アイボリィアーキテクチュアがリノベーションしたアーティスト・クリエーターのレジデンススペースもその”ちょんの間”のひとつです.
間口2mしかない長屋形式の空間に対して、とてもシンプルに、「床を抜いて、背の高い透明な制作場所にする」という提案でした.もともと最低限の経済設計によって作られた天井高の低い3階建ては、そのままではアーティストの制作場所として、物足りないのでは?と考えた結果が他のどこにもない高さをもった作業空間を生み出したそうです.唯でさえ、面積の限られた空間に対し、更に床面積を減らすというのは、とても大胆だなと思いましたが、この高さが余計に空間の異常なプロポーションを強調していました.壁面をぐるっと巻いている木材は2×8材だそうで、いつも目にする2×4材のプロポーションが変わるだけで材としての印象がとても変わるなと思いました.
天井はステンレスが貼ってあって、鏡面になっています.また、こちらの物件は月4万円で賃貸可能なようですが、運営している黄金町エリアマネジメントセンターがしっかり、この物件のコンセプトを理解して、それにあった居住者を選んでくれているそうで、以前募集があった人を断った程だそうです.普通不動産屋さんは、なるべく早く賃料を発生させることを目的としているため、本当のニーズを汲み取らない場合が多いので、そういった面でも黄金町はとても素敵な場所だなと思います.この空間コンペは今後も開催するそうなので、今後も楽しみです.
Soi 井上