沼田のパン屋併設住宅で検討している版築壁をシリカライムの池田さんにご相談していたら、
横浜国立大学のOBであり、池田さんと同期の不破博志さんの自邸が参考になるかもということで連れて行って頂きました.
成城学園駅から徒歩10分程度、街路樹と周辺の家々の緑が良い環境を作り出しています.もみがらの家も背の高い生け垣で囲まれています.
外壁の殆どの仕上げが版築、しかも不破さん自ら殆どをセルフビルドで建築しています.こちらの版築は断熱のためにもみがらを入れ、天然水硬性石灰(NHL)と砂利を混ぜています.版築の黄土色と濡色の木建具、そして張り出したポケット状の庇に生い茂る緑がとても良い色の対比をしていて、可愛らしい建築です.
軽やかな屋根と即物的な納まりのトップライト、版築壁の上にさらに左官を施したところもあり随所に実験的な部分が見られます。
版築の継ぎ目や凹凸、場所によって同じ版築でも表情が違い(セルフビルドなので、最後の方は疲れてドバドバっと流したところもあるんだとか)色々な目線で発見を楽しめます.
玄関を入ると不破さんの仕事場です.版築独特のとても良い匂いが部屋に充満していました.
新築当時から10年近く経ってもこんな匂いに包まれる空間ということがとても驚きです.そういった素材は中々ないと思います.
不破さんに模型で我々のプロジェクトもご説明し、納まりや施工方法等、色々とアドバイスを頂きました.
建築の事や音楽の事、生業の事、たくさんのお話をしました.
不破さんがポストプリミティブという言葉をお話していたことがとても印象的できでした.
また不破さんは最近「建築家」ではなく、「節司(せっし)」という肩書を使うようにしたそうで、大変興味深いお話でした.
(詳しくは、不破さんのブログにて文章を見れます→節司(せっし)という職)
我々も肩書のあり方を従来の「建築家」のままで良いのかということを考えており、またSoi(ソーイ)という名前も創意工夫の創意の意味も込めているので、
千利休や古田織部のような茶人の存在への憧れもあり、不破さんの考えている節司という肩書はとてもよいなと思いました.
不破さん、ありがとうございました!
Soi 井上