初めて雑誌で拝見した時に大変衝撃を受けた生物建築舎の『天神山のアトリエ』を
建築家の藤野高志さんにお願いし、見学させて頂きました.
我々は建築家として生きていくためのアトリエ、拠点の在り方を考えています.
最近の建築家はあまり自邸を建てませんが、、、、Soiとしては、自分達が普段生活する空間、住居やアトリエは、自分自身の分身として、または建築家としての思想を表現するものであってほしいと考えています.
天神山のアトリエはまさに藤野さんという建築家の思想が色濃く反映されている素敵な建築でした.
幹線道路沿いに突然現れるコンクリートの四角いボリュームを見た時は、
想像してたものよりも随分と小振りな建築という印象でした.
中に入ると外観の印象とは全く違い、大きな環境に繋がっているとても広い空間とスケール、環境と身体がおおらかな関係性を持っていて、建築として(建築家として)の度量の大きさを感じました.
実は、外壁はすこし内転びになっています.
それによって、影の在り方が全然変わるとスタッフの郡司さんがお話してくれました.
日常的にあのような環境に身を置いているということが、細かい環境の違いや変化をより敏感に感じ取れるようになっているのではないかと思いました。
(実は、郡司さんとは、”Mt.“のコンペの授賞式でご一緒していることが分かりました!)
床は、土にセメントを混ぜて突き固めています.
一部は本当に土の状態、エントランス付近は土が盛り上がっていて、アトリエ全体を見渡せるようになっているそうです.打ち合わせにきたお施主様の子供達はとても楽しそうに駆け巡るそうです.
また打ち合わせテーブルに木陰を作る大きな植物は、柑橘系の樹種を植えているそうで、葉っぱからとてもいい匂いがします!
アトリエ空間とプライベート空間は背の高さ程の自立壁のみで隔てられています.
恐らく空間全体が屋外のような空間なので、ある程度高さのある壁一枚だけでも
十分な心理的距離を保つことができます.
シャワー空間からは隣の畑が見えます.コンセントもミニマルでかわいい!
以前、新建築住宅特集のコラム(わたしのスケール感というテーマ)で藤野さんが所員時代、現場に小屋を作って住んでいたというエピソードを拝見した時に、アトリエ空間の在り方や作品群に納得しました!
雨にも強弱を感じ、季節や時間による日の変化、環境に対する様々な感覚が開かれていく、素敵なアトリエでした!
私は外でお弁当を食べるのがすごく好きなのですが、その時、無意識的に探す豊かな空間にとても近いと思いました.
今度は違う季節や天気の時にも遊びに行きたいです.
生物建築舎の皆様有り難う御座いました.
Soi 井上