ギャラリー・間で開催中のスミルハン・ラディック展 BESTIARY:寓話集へ行ってきました.スミルハンの事務所には、Y-GSAの先輩の原田さんが働いていて、今回の展示に合わせて帰国され、いくつかのギャラリートークや講演会等も参加されているそうですが、、、日程が合わず行けませんでした、、、.今回の展示は、「寓話集」とタイトルがつけられていて、スミルハンの作品に現れた“確信の瞬間”の寄せ集めを展示されています.
3F会場は、壁面に”ルッソ・パーク・プロジェクト”の模型とスタディの数々が展示され、中央に実際のプロジェクトから架空のプロジェクトまでの様々な模型が展示されていました.どれも様々な魅力的な断片が寄せ集まって、想像力を刺激する大変素晴らしいものばかりでした.中庭には、”NAVE”の屋上のサーカステントの着想のきっかけとなった”ありふれたサーカステント”の写真が拡大されて展示されています.
(左)”ビオビオ市民劇場”梱包された劇場のホールを作り出すための裏舞台である3.9mの立方体の構造をスケルトン化し外部に表出させるプロジェクトです.
(右)”木の家”GA HOUSE145で目にした時から井上がとても気になっていたプロジェクトです.広大な傾斜地に全長60Mの橋のような建築が、140角のパイン集成材の支持構造によって支えられています.その角材は、それぞれが互い違いに接合されているために接合部に当たる小口には、一切細工をしていないそうです.
(左)”フラジャイル”2011年に開催されたGLOBAL ENDS—towards the beginningの際にも展示されたワイングラスを塔状に積み上げた作品です.コンスタント・ニーヴェンホイスのタワー群へのオマージュでもあるそうです.
(中)”ランプの塔”セドリック・プライスの1984年のスケッチ「バターシー火力発電所」をイメージされているそうです.
(右)”ルーム”と展示台.”ルーム”は、チリのチロエ島に暮らす一人の男性の家で、別の島に移築するためにこの構造体を海辺まで雄牛で引き、ボートに積んで別の島に運んだそうです.なんかもう、、、自分の建築の想像の範囲ってすごく小さいなと感じずにはいられないエピソードです.移築して10年経った時に、2Fを増築することになり、赤いテントを張ったという設計手法もまた私の想像を軽々と超えていてとても刺激を受けました.
中庭から4Fへ、4Fのサッシ面には、”木の家”でも活用されている赤いフェルトの壁ができています.4Fの壁沿いにはたくさん直筆のスケッチやアイデア、メモの書かれたブックが展示されてあり、自由に閲覧することが可能です.
(左)3Fにも展示されていた”ビオビオ市民劇場”の模型.露出化されたグリッドの構造がとてもかっこいいです.
(右)”わがままな大男の城”オスカー・ワイルドの童話に登場するわがままな大男の城を想像して製作されたものです.このイメージが”サーペンタイン・ギャラリー・パヴィリオン2014”へ続いているようです.
(左)”サンティアゴ・アンテナ・タワー”丘の上にタワーとアンテナ、頑丈な躯体のようで、はかなげな亡霊のようなハイブリットなオブジェをつくる計画です.
(中)”直角の詩に捧ぐ家”コルビジェの詩画集の「肉体」と題した章に添えられたリトグラフを参考に設計をされているそうです.そこに描かれたものから、光の射さない内部、粗野な物質性、おおむね平穏な雰囲気という3つを手掛かりとして抽出しデザインされています.
(右)”サーペンタイン・ギャラリー・パヴィリオン2014”イギリスの玄武岩の上に鉄骨の梁をかけ、その上にドーナツ状の殻がすっぽりと横たわるというパビリオンです.
スタディは、石とマスキングテープで行っていたそうです.確かにあの建築は、スチレンボードや紙、スタイロ等の模型用材料では、創造することができないですよね.スタディする素材や道具が変われば、創造がまったく変わるということを帰りながらもやもやと考えました.”サーペンタイン・ギャラリー・パヴィリオン2014”については、原田さんの記事に詳しく書かれていますので、ぜひご覧になってください.
Soi 井上