ずっと楽しみにしていたゲーリー展に行ってきました.
自由でユニークなゲーリーさんは、とてもお茶目で誠実な方だなと改めて思いました.
地下へ下りると、壁三方へのプロジェクション.
ゲーリー建築を疑似体験できます.
最初の部屋はゲーリーの原点
ゲーリーがインスピレーションを受けたものや本などのコレクションが展示されています.
今回の展覧会のマニュフェスト.
この日本語訳がとってもいい文章です.
会場デザインをされている田根剛さんにとてもいい訳ですよね、というお話を伺ったら、
どうやら最初に上がってきた訳はとても綺麗な文章だったらしく、
ゲーリーの英語はもっとフランクだったとのことで
再度書き直してもらい、今の状態になったそうです.
ぜひ、ご一読ください。→ゲーリーのマニュフェスト
ゲーリー自邸の模型.我々がとっても大好きな建築です!
自邸は1920年代に建てられたダッチ・コロニアル様式の2階建ての住宅.1979年に改修.
ありふれた住宅をホームセンターで手に入る 2x4材や工業製品など、とてもありふれた材料のみで改修しています.
それにも関わらず、こんなにも魅力的で誰も見た事のない建築を作ってしまう、、、感動的です!
ゲーリーの建築を見ていると、昨日作った建築を、今日自分で改修してしまうような建築創造のダイナミックさ、
時間をかけて考え込まれた、使い込まれたような複雑さやユニークさを感じます。
次の部屋は、プロジェクトのプロセスが
模型やスケッチ・写真で展示されています.
ゲーリーはスケジュール内、予算内で必ずプロジェクトを完成させると述べています.
建築の実務に関わった事がある方ならそれがどれだけ難しいことか、、、、よく分かりますよね.
そんな中でそれを明言していることは、とてもすごいことだと思います.
ゲーリーの奇抜な建築を見ると、すごくお金がかかっているんでしょう!?と誰しもが思うはずです.
しかしゲーリーは、自身が考案したゲーリーテクノロジーズというシステムを駆使し、
徹底的に建築の現場をボルト一本までも管理します.
上部写真のエイト・スプルース・ストリート(アメリカ・ニューヨーク、2011)のうねった立面は、
何千、何万通りのパネル割りをシミュレーションし、
特注パネルと既製パネル数を調整、全てをナンバリング、徹底的に管理することで、
全てが予算内に納まり、かつデザイン的にも優れた建物を生み出す. 最強ですね、、、
そして田根剛さんがゲーリーとの対話を通じて考えたアイデアダイアグラムが壁面に大きく展示されています.
ゲーリーのアイデアが、architecture 、technology、peopleという三つのカテゴリーからツリー状に分岐して無数に広がっていき、まるでゲーリーの脳内をイメージ化したようなダイアグラムになっています.
恐らくゲーリーは、単に建築のアイデアやコンセプトといったすごく狭い世界ではなく、
もっと様々な分野や問題に対してもたくさんのアイデアを持っているであろうことが想像できます.
そしてそのアイデアがとても実直で痛快なのです.
(ポストモダンに対しては、ギリシャ神殿など、たかだか数千年の歴史を参照するのではなく、
何万年も前から生息している魚を参照している!)
ゲーリーの建築からは、そういったスケールの大きさ、人としての器の大きさを感じます.
我々が普段から扱っている問題や意識の小ささ、少なさも実感してしまいます…
プロジェクト毎に大きな模型のテーブルが並ぶゲーリーの事務所の様子.
もうワクワクしますね!!いつか我々もこんな大きい拠点(アトリエ)を持ちたいです.
展覧会は2月7日まで開催していますので、まだ見ていない方は是非!!
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建築家 フランク・ゲーリー展 “I Have an Idea”
会期:2015年10月16日(金)- 2016年2月7日(日)
休館日:火曜日(11月3日は開館)、年末年始(12月27日- 1月3日)
開館時間:10:00 – 19:00(入場は18:30まで)
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Soi 井上