本日は、以前 プリズミックギャラリーで開催されていたトークショーでお会いしたDOMINO ARCHITECTSの大野友資さん設計のCOOOP3 を見せて頂きました.
場所は、3Dプリンターとレーザーカッターが使えるカフェFabCafe Tokyoが1階にあるビルの3階です.
FabCafe Tokyoのインテリア設計は、成瀬・猪熊建築設計事務所ですが、エントランスのこの木格子の設計は、大野さんが手がけたそうです.すごく綺麗な納まりと精度です.木が一筆書きでスパイラル上に上がっていくようなイメージで、重なると奥行きのある千鳥格子が浮かび上がります.
材料の木は、施主のロフトワークのヒダクマという木の可能性を探る事業の一環で、飛騨の木材を使用しているそうです.ハッチ部分の上部は、フレームが取り外せるようになっています.
そして3FのCOOOP3 へ.ここは、企業のためのプロジェクトスペースと東大の研究室がはいっています.
丁度このフロアのレベルが首都高と同じ高さにあるので、窓の外を車が行き交い、地上階にいるような錯覚が起きる不思議な立地条件です.
プロジェクトスペースは、プロジェクトの追い込み時期にわっと集まって作業をするような詰所のようなイメージとのこと.(WAR ROOM;戦略決定室と言うそうです.)
ここは壁を所有するというアイデアで、持ち運びが容易な24mmのポリカーボネートとシナのパネル(シナランバーのように見えますが、中にハニカムを入れて薄ベニヤで挟み込んでいるそうです、なので通常の3×6ランバーより軽い)をプロジェクトがそれぞれ所有し、中央に組み込まれた十字の木のベースに随時抜き差しして利用します.
ベースに使われているのは、日本家屋の大黒柱として使われる一辺が一尺(約30cm)のマツの無垢角材をそのまま使用しています.中央の溝にパネルを差し込みます.
ごろんと横たわった荒々しい木材はとても存在感が有ります.木材は先ほどの一階のフレームと同じく、飛田の木材を利用しています.
床はウレタンに炭を混ぜてモップで模様をつけているそうです.いいムラ感です.
壁際にもどどんと大きな角材が腰掛けとしてそのまま設置されています.非常階段からギリギリ搬入可能な長さで計画し、現場で追掛け大栓継ぎを行ったそうです.
床面には、一本小さな角パイプが流れています.パネルを壁際の角材に立てかけるためのストッパーとして利用するそうです.
モニターも上部レールから吊られて移動式です. 部屋の隅に設置されてあるのは、電源のドラムリール.奥には、ガラスとカーテンで仕切られたミーティングスペースもありました.
中央の壁には、「壁継」という木造建築の継ぎ手を利用したプロダクト.
壁に取り付けた継ぎ手の受けに、3Dプリンターで製作するアタッチメントを差し込むことで様々な部材を壁に引っ掛けられる仕掛けです.
木材部分と3Dプリンターで生成する部分のデータをオープンソース化しているので、1FのFabCafe Tokyoでアタッチメントを製作できるそうです.
いろんな形、組み合わせ、またそれぞれの継のフィット具合も実験しながらやっているそうです.大野さんがお話していた使い方のDIYという考え方、考える自由度をあたえるということにとても共感しました.
中央にオフィス?を構えるSafecastの製品も説明して頂きました. 彼らは、環境に関するデータを使って人々に力を与える活動を行う世界的な市民科学プロジェクトのボランティア・グループなんだそうです.写真は、放射能を計る機械で、車等に設置して、誰もが自由に利用できるオープンデータを用意しているんだとか.こういう活動が世界的に広がっていくと面白いと思います.そしてこの機械が結構可愛かったりします.
机はメラミンかな?と思っていたのですが、これは床に使うリノリウムなんだそうです.使い込むことで味が出てくる素材をチョイスしているので、これから使い込んでいって味が出てくるのが楽しみですね.
巾木とスイッチプレートは銅製.
無骨さと繊細さ、自由と不自由のバランスがとても心地よく使い倒したくなる素敵なオフィスでした.
Soi 井上