ワタリウム美術館で開催中の リナ・ボ・バルディ展 へ行ってきました.
現在、ワタリウム美術館の立面の一部がリナ・ボ・バルディ仕様になっています.
JRの展示の時から壁面一杯に貼られた顔写真や今回の開口部のようにそれぞれの展覧会で美術館の立面にまで(ただの看板やサインのみでなく)侵食していくのは、街に新たな驚きを与えてとても良いですね.
ワタリウム美術館の立面に出てきたものは、SESC ポンペイア文化スポーツセンターの「雲型窓」の原寸大を表現しています.
ガラスではなく格子をはめただけの“穴”であり、それによって自然換気を促すとリナは説明していました.エアコンが嫌いだから、穴を開けて解決する!という、SESC ポンペイア文化スポーツセンターの構成もそうですが、リナらしい大胆なデザインです.
展覧会場では、2Fの床がいつものワタリウム美術館とは違い、赤くなっていました.「サンタ・マリア・ドス・アンジョス教会」(1978年)が建つ土地の赤い土を表現しているそうです.
他にも自邸「ガラスの家」(1951年)の石壁を模した壁を作っている所や、「ガラスの家」の水色のガラスタイルの床が表現されている所等、完璧なリナの建築ではないものの、実寸大で表現されている場所があるので必見です.
大きな模型や写真、映像、スケッチ等見応えがあり、あっという間に2時間以上の時間が経っていました.
今回の展覧会を通じ、今まで知らなかったリナの一面が見えました.
リナは、建築だけでなく、それに関するあらゆる事(家具から、ファッション、ロゴまで)をデザインしています.最近我々のプロジェクトへの心構えも建築だけに留まらず、庭や家具、ユニフォームやパン屋のメニュー等、様々な物事までカバーしたいと考えており、日々試行錯誤しています.パン屋リサーチをやっているのもその一貫です.
リナの建築への態度は我々が目指している建築家像にとても近いと感じました.
またジオ・ポンティの所で働いていた時は、イタリアの建築雑誌Domusの副編集長を務めていたそうです.ブラジルに渡ってからも、旦那様と一緒に雑誌を作っていたり、自分でメディアを作って発信していました.「建築をデザインする」ということに留まらず、社会や政治に対しても自分の意見や態度を発信できる素晴らしい建築家です.(恥ずかしながらそういった活動をしていたという事を今回の展覧会で初めて知りました.)
サンパウロ美術館では、元々この場所で別の(非常に陳腐な)計画が決まっていたのを偶然見かけ、その場に相応しくないと、発狂し奮闘!
様々な人々を巻き込み、自身で美術館を提案、設計し、実際に建ててしまった、、、.
恐るべきパワーと信念です.それほどまでに社会や街に対して発言権を持ち、人を巻き込める建築家はなかなかいないと思いますが、本来、建築家はそうあるべきだなとモヤモヤと考えながら事務所に帰ってきました.
来月まで開催中ですので、ぜひぜひ足を運んでみてください.チケットも可愛いです.
またリナがデザインした キリンの椅子 が今回の展示に合わせ完全受注生産で購入できるそうです!!
会場には、他にもリナが設計した家具がたくさんあり、
その中に西沢立衛さんの私物のキリンの椅子も展示されていました!
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期間:2015年12月4日[金]−2016年3月27日[日]
開館時間:11時より19時まで [毎週水曜日は21時まで延長]
会場:ワタリウム美術館
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Soi 井上