本日は、平田晃久さんが設計監理を行った太田市美術館・図書館の内覧会のため群馬へ、せっかく太田まで行くのであればと、一緒に群馬県立館林美術館も見に行ってきました.
群馬県立館林美術館は、平成13年に建てられた県立美術館で、設計は第一工房の高橋靗一(ていいち)さんです.とても広く、大らかなランドスケープと共に建つとても美しい建築です.
美術館のアプローチには水辺があり、緩やかなカーブを描きながらだんだんと建築に取り込まれていく体験はとても気持ちが良いです.
こちらは、レストランへのアプローチです.水辺の中のブリッジを進んでいきます.
美術館は、大きく分けて二つの展示エリアを開放的な通路を歩きながら回遊していきます.こちらは、展示室1の彫刻が飾ってある空間です.残念ながら展示室内は撮影禁止のため、お見せできないのですが、、、天井とサッシが緩やかにカーブをしていて、開放的なとても気持ちの良い展示室なのです.
もう一つの展示室へのアプローチ、片面が全面ガラスのため、とても暑い、、、、夏だったら、とても暑いだろうなと思います.振り返ってみると先程の展示室1のボリュームが内部の印象よりもとてもカーブが大きいということに驚きます.
また別館もあります.こちらは本館とは対照的な建築で屋根勾配もはっきりしていて、素材の存在感が全面に表現された可愛らしい建築です.
こちら軒先のデザインが特徴的で、外壁がそのままRになって庇の部分まで納まっていました.可愛いです!
駐車場の縁石もこれまた素敵でした.駐車場に敷かれたピンコロ石のサイズでそのまま縁石がデザインされていました.サイズ感も質感も可愛らしいです.
その後は、太田市美術館・図書館へ、駅から徒歩15秒程なので、駅から出るとすぐに見えます.この建築は、耐力壁付ラーメン構造による5つのボックスがランダムに配置され、そこからS造によるリムがうねうねと取り巻くスラブを作っています.コンペ時のパースや模型で見た印象よりも実際は小柄な印象です.
空間の中央にある螺旋階段がとても綺麗でした.リムの部分あえて天井を仕上げなかったのは、仕上げることで室内ぽさが出ることを避けたのと
リムの作る方向性や流れを表現したそうです.
リム空間は、自由な空間でぐるぐると回ることができ、ボックス内部には、展示室やホール等機能的な空間が入っています.ボックス上部に機械類や照明を納め、そこから出るリムは、床下から空調等の設備系の配線を回しています.
テキスタイルデザインは安東陽子さんです.最近自分たちでカーテンを試作しているので、気が付いたのですが、、、カーテンのデザインって本当に難しいのですね、、、、さらりとノイズがなくデザインできる安東さんの凄さを改めて知りました.
中をぐるぐると回って外部空間もぐるぐると回れます.手摺なんかも支柱と笠木部分がちょこっとズレて溶接されている繋ぎ目のデザインが可愛いらしかったです.
ぐんぐんと一番高い所まで登ると、緑化された面が駅まで見下ろせます.この風景は、建築というよりも山のように見えます.
リブの部分にある図書館スペース、ぐるぐると回遊しながら回るのはとても楽しい体験です.またガラス張りなので、夜の駅から見る景色も明るくて素敵だろうなーと想像できます.
こちらは、児童書のコーナーです.本棚を取り付けているガチャ柱がコンクリートに飲み込まれています.後から削った訳でなく、打設時から、その部分を欠いて打ったそうです.恐ろしいですね、、、.
今回家具類は、家具デザイナーも入れずにすべて平田事務所で行っているそうです.カウンターの天板や本棚の棚板は、全てOSB合板で統一されています.OSBだと棚板やカウンター等厚みが違うものでも、積層している部分が目立ちにくいので、採用しているとのことでした.
このベンチも素敵でした!太田市は、富士重工があるので、市内には、車のパーツ製作の下請けを行う工場が数多くあるそうです.そのような企業の協力を経て、什器の製作を行っています.このベンチは、マイクロメローシステムという幾何学を応用したフレームで、加工性の良いジェラルミンという素材を使用し、光沢のある繊細な構造体を作っています.
こちらの閲覧室3の大きなガラステーブルの上部にある照明も同じフレームのシステムで作り、照明は岡安泉照明設計事務所で布は、安東陽子さんがデザインされています.
平田晃久建築展も本日が最終日でした.井上は、学部3年生の夏休みに平田事務所にオープンデスクに行っていたので、自分が手伝ってた頃の模型やその後の平田さんの建築を見れてワクワクとしていました.
この太田市美術館・図書館は、設計条件に市民を巻き込んだ設計案の検討ということが組み込まれていたため、この建築ができるまで計5回の設計ワークショップを経て、たどり着いています.
想像しただけで、、、もう苦労が目に見えます.平田さんの知的で人を引っ張て行く力があってこそ、ここまでたどり着いたのでしょう!
最後は、1Fのカフェで平田さんオススメのおもちゃみたいな見た目のアイスクリームを頂きました!
Soi 井上